防災レポート2022 Vol.5 台風第14号に伴う今後の大雨・災害の見通し(第1報)
Report
日本気象協会は、台風第14号に伴う今後の大雨と災害の見通し(9月15日10時時点)に関する情報を、防災レポートとして発表します。
ポイント
・台風第14号は、発達しながら西へ進み、19日には九州に接近・上陸する可能性がある。
・九州や四国、紀伊半島など、山地の南東斜面で雨量が多くなる予想。特に宮崎県や鹿児島県では48時間降水量が600mm超となり、過去に観測された雨量を上回る可能性がある。
・その後20日にかけて東日本~北日本にも大雨や暴風の可能性があり、警戒が必要。
9月14日(水)に発生した台風第14号は15日(木)9時現在、日本の南にあり、西へ10㎞/hの速さで進んでいます。中心気圧は980hPa、中心付近の最大風速は30m/sです。このあと発達しながら西へ進み、16日(金)ごろから進路が北向きに変わる見込みです。18日(日)頃には南西諸島に接近し、19日(月)には九州に接近または上陸する恐れがあります。西日本の広い範囲で大雨や暴風に警戒が必要です。その後、進路を東向きに変えて20日(火)にかけて東日本や北日本に影響する可能性があります。
日本気象協会独自の「JWAアンサンブル雨量予測」では、台風第14号の影響により、19日(月)にかけての48時間雨量の最大値が九州地方の広い範囲と四国地方、紀伊半島などで400㎜を超える予想となっています。台風が近づく18日~19日にかけては九州~本州の太平洋側に暖かく湿った空気が流れ込みやすく、大気の状態が不安定になる見込みです。また、台風に向かって東~南東の風が吹き込む形となるため、山地の南東斜面で特に雨雲が発達しやすくなるでしょう。宮崎県や鹿児島県の山地では、台風本体の雨雲がもたらす大雨により、48時間雨量が600㎜を超える予想です。解析雨量が1kmメッシュ化された2006年5月以降に観測された雨量の最大値を上回る(既往最大比130%超)可能性があります(注)。大雨による災害が発生する可能性が高まりますので、厳重な警戒が必要です。
(注)既往最大値の集計期間は2006年5月以降のため、2005年台風第14号の大雨は含まれていないことに留意してください。
また、台風接近により暴風にも警戒が必要です。瞬間風速30m/s以上となる確率は、九州地方では18日(日)がピークとなっています。また、西日本の広い範囲で19日(月)日中にかけて暴風の確率が高くなっています。19日(月)以降は北陸地方や、東北の沿岸部でも確率が高くなっています。暴風への備えは早めに済ませるようにしてください。また、交通機関の乱れも予想されます。連休中はこまめに気象情報や交通情報を確認するようにしてください。
なお、宮崎県を中心に大雨となった台風として2005年台風第14号があります。この台風は広い暴風域を維持したまま九州に上陸しました。台風の進行速度が比較的遅く長期間にわたって暴風、高波、大雨が継続しました。3日間の総雨量は1000mmを超え、大規模な土石流も発生しました。今回の台風第14号の進路は、2005年台風第14号のコースと類似する可能性があり警戒が必要です。
本情報は2022年9月15日(木)10時時点の予測資料から作成したものです。最新の気象情報をご確認ください。
※日本気象協会の天気予報専門メディア「tenki.jp」では、「警報・注意報」「地震情報」「津波情報」「火山情報」「台風情報」などの防災情報(https://tenki.jp/) を24時間365日提供しています。
平田 航(ひらた わたる) 一般財団法人 日本気象協会 社会・防災事業部 防災マネジメント課 RCCM(建設部門:河川、砂防及び海岸・海洋) 気象予報士 |
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