日本気象協会、「DR最適発動支援のためのエリア需要予測サービス」を開始 ~電力事業者の節電要請と容量拠出金の負担軽減などを支援~
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は、一般送配電事業者や小売電気事業者などの電力事業者向けに展開していた「DR(デマンドレスポンス)※1支援サービス※2」を拡張し、「DR最適発動支援のためのエリア需要予測サービス」として新たなサービスの提供を開始します。
これまで日本気象協会では電力事業者向けに、人工知能(AI)を活用した電力需要予測サービスを提供してきました。2024年度より、小売電気事業者による容量拠出金※3の支払いが始まるのを受け、エリア需要の時系列変動、ピーク需要の発生日時コマ※4(30分ごと)および需要量を予測する新たなサービスを開始します。
盛夏期や厳冬期にエリア需要がピークとなるタイミングでDRを発動し、ピークシフトやピークカットによって自社需要を下げることで、需給ひっ迫リスクの低減と容量拠出金負担の軽減などの効果を最大化します。さらに、DRにより容量市場に電力を供出することで、将来の電力供給の安定化にも寄与します。
日本気象協会は、電力事業者のDR発動判断支援を通じて、電力需給の安定化に貢献していきます。
※1 DR(デマンドレスポンス)
需要家側エネルギーリソース(DSR)の保有者もしくは第三者がDSRを制御することにより、電力需要パターンを変化させること。
※2 DR支援サービス (2022年6月28日報道発表)
https://www.jwa.or.jp/news/2022/06/17057/
※3 容量拠出金
容量市場にて供給力を確保するため、小売電気事業者および一般送配電事業者が拠出する費用。小売電気事業者に関しては、相対契約の有無などに関わらず全ての事業者が支払う必要がある。
※4 コマ
2016年度からの小売全面自由化後、小売事業者と発電事業者は1日を48コマに分割した30分単位のコマごとに需要計画と発電計画を作成し、実需給の1時間前までに需給を一致させる運用をおこなっている。1コマは30分のこと。
1.本サービスの提供内容
[1]エリア需要の時系列予測データの配信
本サービスでは、DR発動判断に必要となる、エリア需要の短期・2週間・長期予測データをオンラインで配信します。最大需要量とその発生日時の予測データ(30分値)が利用可能です。エリア需要の最大需要の発生予想日時にもとづき、最適なDR発動タイミングを段階的に見直しながら決定することが可能です。
(1) 1~数カ月前 :長期予測により、「どの週」に最大需要が発生する見込みか見通しを立てる
(2) 1~2週間前 :2週間予測により、「何日何時頃」に最大需要が発生する見込みか絞り込む
(3) 3日前~当日:短期予測により、DR発動指令の対象時間帯を決め、需要家に事前通知する


(上段)長期予測、(中段)2週間予測、(下段)短期予測
中部エリアにて2024年1月24日(水)9:00-10:00に月間最大需要を記録した事例
[2]ピーク需要の発生日時コマおよびその日時コマでの需要量の予測(新規)
本サービスでは、全ての予測種別(短期予測、2週間予測、長期予測)においてピーク需要の発生日時コマおよびその日時コマでの需要量を冒頭に表示します。これにより、取得したデータの一部をそのままDR発動支援システムに入力するなど、DR発動判断の効率化が実現できます。
<CSV形式の場合(イメージ)>

2.サービス提供仕様
従来のメール配信に加え、新たにエネルギー事業者向け総合APIサービス ENeAPIを介した簡易な提供方法に対応しました。これにより、DRなどの最適制御システムとの自動的な連携が容易になりました。
DR発動最適タイミング情報(電力需要予測データ)の基本仕様は以下の通りです。小売電気事業者の自社需要や、個別施設の需要予測にも対応可能です。(応相談)

3.利用者からの声
本サービスはすでに複数の大手小売電気事業者に活用いただいており、利用者からは「2024年の容量拠出金が削減できた」との声もいただいております。
4.予測結果
以下は実際に提供した予測結果の一例です。
夏季・冬季のいずれについても、エリアの月間最大需要を高い精度で予測できていました。これにより、最適なタイミングでDRを発動することで自社需要のピークシフトや容量拠出金負担軽減などの効果を最大化することが可能となります。
2023年1月
12月下旬時点で、1月の月間最大需要の記録日を適中
・予測種別 :長期予測(12月に発表した長期予測のうち1月予測分を検証対象とした)
・予測時点 :2022年12月23日16時
・対象エリア:東京
2023年7月
前日7時段階で、月間最大需要の記録更新を適中
・予測種別 :短期予測(各日07時に発表した短期予測のうち翌日予測分を検証対象とした)
・予測時点 :2023年7月(各日07時)
・対象エリア:北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州
(上記9エリア中8エリアで適中)
◆サービスに関するお問い合わせ先(法人向け)
日本気象協会 環境・エネルギー事業部 営業課
Tel:03-5958-8142 Mail:ke-eigyo_kankyo@jwa.or.jp
◆日本気象協会の関連サービスについて
・電力需要予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-02/)
・エネルギー需要変動解析(https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-05/)
・プライス予測 (https://www.jwa.or.jp/service/weather-and-data/weather-and-data-03/)
以上