日本気象協会、JOGMEC公募「令和6年度 洋上風力発電の導入促進に向けた基礎調査に係る業務」に採択
Press Release
一般財団法人 日本気象協会(本社:東京都豊島区、理事長:渡邊 一洋、以下「日本気象協会」)は2025年3月7日(金)、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「JOGMEC」)が公募した『令和6年度「洋上風力発電の導入促進に向けた基礎調査に係る業務(北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)北部エリア:風況・気象海象調査)」』(以下「本事業」)に採択されましたのでお知らせします。
■本事業の概要
経済産業省資源エネルギー庁および国土交通省港湾局は、2024年4月に「洋上風力発電に係るセントラル方式の運用方針」を策定し、洋上風力発電に係る日本版セントラル方式(注1)が運用されています。セントラル方式の制度運用の対象事項の1つであるサイト調査はJOGMECが実施し、調査を一元化することで効率的な案件形成、地域調整の円滑化、競争性ある質の高い公募の実現を図ります。また、調査結果は事業者へ提供され、ウィンドファームの基本設計に資する資料として利用されることが想定されています。
本事業は浮体式洋上風力発電を対象として最初に公募されたものであり、フローティングライダーシステム(注2)(以下「FLS」)を用いた風況調査、波高計および流向流速計などを用いた気象海象調査を実施します。
なお、日本気象協会は令和5年度にJOGMECが公募した同じ北海道岩宇・南後志地区沖を対象とした着床式洋上風力発電に係る調査事業にも採択されています。
参考:https://www.jwa.or.jp/news/2023/06/20421/
(注1) セントラル方式とは、「政府や自治体の主導的な関与により、効率的な案件形成を実現する仕組み」として定義され、案件形成に向けた地域調整やサイト調査(風況・海底地盤・気象海象)を含む5項目が制度運用の対象です。
(注2) フローティングライダーシステムとは、上空の風をレーザー光により遠隔測定する鉛直ライダーを、係留方式の浮体ブイに搭載し洋上の風況観測を行う装置です。太陽光パネルや燃料電池などの独立電源を用いており、主に離岸距離が長い沖合で使用されます。
■本事業での調査内容
①風況調査
FLSを対象海域に設置し、搭載されている鉛直ライダーにより上空300mまでの風速、風向を連続的に観測します。
②気象海象調査
FLSまたは波浪ブイに搭載した各種測定器(温度計、湿度計、気圧計、波高計、流向流速計など)により観測を実施し、対象海域における気象海象を調査します。
■本事業での調査期間
2025年3月~2027年2月(予定)
※事業採択に関する詳細 https://www.jogmec.go.jp/news/bid/content/300393621.pdf
■フローティングライダーシステムに関する取り組み
日本政府は「洋上風力産業ビジョン」において、2040年までに洋上風力発電の国内調達達成率60%を目標として設定しており、強靭なサプライチェーンの形成や低コスト化プロジェクトを進めています。
本事業では、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会における5社により共同開発された国産FLSである、MIA(Marine environmental data Integrated Acquisition platform)を用いた風況調査、気象海象調査を実施します。MIAは洋上風力発電の導入拡大を図るため、事業予定海域で必要となる洋上風況や気象海象などの調査を統合化し、質の高い情報を収集する国産の無人観測装置として開発され、これまでに青森県や長崎県での観測実績を有しています。また、MIAはスパー型(注3)の浮体形式であり、波浪中の動揺が小さく、係留安定性に優れているなどの利点があります。
しかし、洋上に設置されるため、FLS観測により得られたデータは波浪による影響(動揺)を除去して、解析を進める必要があります。日本気象協会ではMIAをはじめとしたFLS観測で得られたデータについてモーションセンサーから得られたデータを用いて解析作業(動揺補正)を行い、より正確なデータとして提供します。
(注3) スパー型は、浮体が長い円筒形であり、浮体の重心を下げて安定性を保っていることが特徴です。 また、浮体の動揺が比較的小さく、構造が単純なためにコストも抑えやすい形式です。

<ご参考>
日本気象協会の風力発電関連サービス ※一部抜粋
・風力発電に関するコンサルティングサービス:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-01/
・洋上風力発電向け 風況調査:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-07/
・洋上風力設計のための風況解析:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-06/
・洋上風力設計のための海象調査解析:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-03/
・洋上風力事業者向け気象海象予測:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-05/
・風力発電出力予測サービス SYNFOS-wind:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/wind-power-02/
・エネルギー事業者向け総合APIサービス ENeAPI:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/solar-power-06/
・風力発電のバードストライク監視サービス「鳥類監視システム」:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/assessment-04/
・洋上での鳥類飛翔状況の調査手法に関する共同研究:
https://www.jwa.or.jp/service/energy-management/assessment-05/
以上
PDFダウンロード:【日本気象協会報道発表】 JOGMEC公募「洋上風力発電の導入促進に向けた基礎調査に係る業務」に採択_